愛と欲望のジーファー製作シリーズ【3】完結編

宮良加工所

2011年09月13日 17:33


お待たせしました、いよいよ完結編のジーファー製作記です。

★前回までのあらすじ★
ジーファー(かんざし)の注文を頂き、溶かした銀を延べ棒にしたものを、金槌でキンキン叩いて叩いて、息も絶え絶えになりながらなんとか仕様の長さにたどり着いた宮良加工所。果たして期日までに完成させられるのか・・・?

さて、叩いて伸ばした銀の棒、太い方の端を適当に切りまして、叩いて鉛筆の先の様に形成していきます。ピンボケ失礼~。


個人的には、かんぷー(髷)から出るこの部分が、ある程度太くて主張があった方が美しいと思っているので、メリハリつけて形成していきます。
叩く前との比較です。


さーどんどん参りましょう!
スプーン状の部分と棒を合体させます。彫金では、熱をかけてローと呼ばれるものを溶かし、金属どうしを接合させることをロー付けといいますが、ここでは強度を増すために中に銀線の芯を入れてからロー付けします。
さらに、熱がかかって柔らかくなった銀を締めるため、全体を打ちます。

ここまで来たらあとは一気に仕上げです。
バフなどで磨いて輝きを出していきますが、鍛造して叩いて仕上げた作品は、ステンレスなどのようなピカピカさにはなりません。よーく見ると鎚の跡のようなものがついています。鎚目(つちめ)といいます。これが手作りの証でもあります。

磨き終わったら、打刻です。SILVERの印、お客様指定の文言以外に、すごーく小さな、宮良加工所のホールマークである、自分の名前から2文字とった”宮司”の刻印が入ります。(ジーファーに限らず自分が作ったものにはほぼ全てに入ります)
昨日、八重山舞踊の踊り手でもあるお客様にジーファーのお話を伺っていたら、西表ご出身の彼女は畑を耕していたら出てきた古いジーファーを持っているそうです。(珍しいので見せて下さい、とお願いしました。)ウン十年後、自分の作ったジーファーもどこかでひょっこり出てきて、それには”宮司”の刻印が!もちろんこのブログも自分も亡くなってるだろうけど、そういう風に後に残ったら最高だと思います。
       ~完成です~


さて、長々と説明してきましたが、実は自分はジーファーの知識が深い、という訳ではなく、昨日の様にお客様にお話を伺って知ることも未だに多々あります。
作り方に関しても、前回書いたように独学で作り方を確立したので、伝統の作り方では無いとは思いますが、ここ石垣で、丹精込めて丈夫なものになるように叩いています。

日頃思っていることですが、販売に携わる会社や人が、その商品の生まれる過程・バックグラウンドなどの情報を、きちんと責任持って把握・開示する世の中になれば良いですね。
それを見て、買うかどうか判断するのはお客様だと思うんですよ。
このシリーズも、宮良加工所こういう風に作ってますということで伝われば、幸いです。

愛と欲望のジーファーシリーズこれにて完!(製作過程が地味なのでせめてタイトルだけでもドラマチックにしたのです)
チョチョーン!(拍子木の音)
お付き合い頂き、有難うございました~。

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